こんにちは、Yohです。
以前に、Suiの高速処理を可能にしている技術「並列処理」について解説しています。
ここでのポイントは「取引の種類に応じた処理」と「網目状のブロックチェーン」でした。
これら2つも重要ですが、実はSuiの高速処理を支える秘訣は、Suiを形作るデータにもあります。
それが今回解説する「オブジェクト」という概念です。
- Suiの「オブジェクト」とは何か
- Suiのオブジェクトモデルがなぜ優れているのか
- オブジェクトモデルがSuiにどのような将来性をもたらすのか
ブロックチェーンにおける画期的な概念であるSuiの「オブジェクト」について、わかりやすく解説します。
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Suiの「オブジェクト」とは
オブジェクトはデータの基本単位
オブジェクトとは、Suiチェーンにおけるデータストレージの基本単位のこと。
つまり、Suiではあらゆるデータが「オブジェクト」という単位で構成され、オンチェーンで管理されているということです。
各オブジェクトは固有のIDを持っていて、所有権や属性を付与することができます。
したがって、SuiではすべてのデータがNFT(複製できない唯一無二のデジタルデータ)のようなものだと言えるでしょう。
NFT(非代替性トークン)については、こちらの記事でくわしく解説しています。
Suiのオブジェクトモデルの利点
Suiのように「オブジェクト」をデータ単位とするブロックチェーンをオブジェクトモデルと呼ぶことがあります。
ここでは、オブジェクトモデルが他のレイヤー1でよく使われるモデル(アカウント/バランスモデル)と比べて、どんな利点があるのかを解説します。
アカウント/バランスモデル
まずは、アカウント/バランスモデルのしくみを見てみましょう。
アカウント/バランスモデルはイーサリアムやソラナなどの一般的なレイヤー1で使われているしくみです。
このモデルでは、各トランザクションごとにすべてのアカウントの状態をまとめて更新していきます。
そのため、トランザクションの処理は必ず「直列的」に行われます。
ここでいう「直列的」とは、矛盾が起こらないように、1つ1つ順番にトランザクションが処理されるという意味です。
例えば、同時に入出金があったような場合、それを一気に処理することはできないので、取引に参加しているすべてのアカウントの状態を順番に更新していきます。
トランザクションが起こるたびに、足し算・引き算をしてデータ全体を上書きしていくイメージ。
この方法だと、処理にかかる負荷も大きく、処理速度はすぐに頭打ちになってしまうという課題があります。
また、DEX(分散型取引所)での取引といった複雑なスマートコントラクトを実行したい場合、そのためのコードも複雑になってしまうので、セキュリティ面や効率面で問題が起こりやすいという課題もあります。
こうした処理速度における課題をスケーラビリティ問題といいます。
これを解決するためにイーサリアムでは、アービトラムのようなレイヤー2にタスクを肩代わりしてもらったり、シャーディングでタスクを細かく分割したりといった工夫をしています。
オブジェクトモデル
一方、オブジェクトモデルでは、すべてのデータが「オブジェクト」として扱われており、それぞれが独立して状態を更新することができます。
つまり、先ほどの例で示したような、同時に入出金がある場合も、トランザクションは「並列的」に処理されます。
そのため、アカウント/バランスモデルに比べて処理速度が非常に速いという特長があります。
また、各オブジェクトにおいて所有権やアクセス権限が明確に定義されている(上図では色分けで表示)ので、セキュリティ面も強いと言えます。
これに加え、前回解説したように、Suiでは並列処理を行うためのしくみを複数設けることで、他のブロックチェーンにはマネできない圧倒的なTPS(1秒あたりに処理できるトランザクション数)を記録しています。
くわしくは以下の記事から↓
オブジェクトモデルがもたらすSuiの将来性
オブジェクトモデルはユーザー数増加につながる
Suiはオブジェクトモデルを採用することで、次の2つを実現したと言えます。
- 高い処理速度と安全性
- 単純かつ直感的でわかりやすいデータ処理システム
今までにできそうでできなかったことを実現してるのがすごい。
これらはそのまま、Web3プラットフォーム(DApps)の使いやすさと開発のしやすさに直結するので、将来的にSuiユーザーの増加にもつながると考えられます。
実際、2024年5月にCoinGeckoが発表した、TVLトップ25のブロックチェーンにおける処理速度ランキングではSolanaに次ぐ2位。
引用:CoinGecko
1日のアクティブユーザー数も着実に増やしています。
引用:2024年5月23日 Matteoさんのポスト | X
Suiは今後ますます世界で普及していくでしょう。
まとめ
- オブジェクトはSuiにおけるデータの基本単位。
- オブジェクトはそれぞれが所有権・属性といった状態を持ち、オブジェクトごとにそれらを更新できるため、トランザクションの処理効率やセキュリティを高めることができる。
- オブジェクトモデルによって、Suiはどんどん普及していくことが期待できる。
Suiの「オブジェクト」は、これまでのブロックチェーンにおいてありそうでなかった画期的な概念です。
そして、これをベースにSuiでは処理速度を高めるための開発がどんどん進められています。
今後のさらなる進化が楽しみですね。
Suiの開発・普及から目が離せない!
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参考文献
- Comparing Bitcoin’s UTXO Model and Ethereum’s Account/Balance Model | Xangle
- UTXO vs. Account Models | alchemy
- The UTXO vs Account Model | Horizen Academy
- イーサリアムの次期アップグレード「Dencun」、重要性とメリットとは? | CoinPost
- Ethereum sharding: A beginner’s guide to blockchain sharding | Cointelegraph
- Object Model | Sui Documentation
- Create a Non-Fungible Token | Sui Documentation
- All About Objects | Sui Foundation
- Sui Blockchain: A Deep Dive | Stakin
- くりぷとくりぷと『Suiのオブジェクトベースモデルを理解する』 | note