【NFTの活用例】SBT(ソウルバウンドトークン)の将来性を解説

こんにちは、Yohです。

2021年、唯一無二のデジタルデータであるNFTとアートが結びついて、空前のNFTブームとなりました。

もしかしたら、投機目的でNFT界隈に参入した方も多かったのではないでしょうか?

しかし、2023年現在は投機勢が消え去り、すっかり市場は落ち着いています。

クリプト初心者

結局、NFTは一過性のブームだったの?

では、NFTはすでにオワコンになってしまったのでしょうか?

答えはまったくのNoです。むしろ始まってすらいないとも言えます。

確かに投機対象としてのブームは終わりましたが、そもそもNFTは最先端の技術であって、「デジタルデータの所有を可能にする」という本質的価値は失われていないからです。

そんなNFTの技術の中でも、これから私達の生活に大きく関わることになる例が、今回紹介するSBT(SoulBound Token, ソウルバウンドトークン)というものです。

この記事を読むとわかること
  • SBT(ソウルバウンドトークン)とは何か
  • SBT(ソウルバウンドトークン)の活用例
  • SBT(ソウルバウンドトークン)の課題
  • SBT(ソウルバウンドトークン)の将来性
Yoh

SBTによって、NFTの技術は私達にとって身近なものになるはずです。

目次

SBT(ソウルバウンドトークン)とは

SBT=売買や譲渡できないNFT

まずは、NFTについては簡単におさらいしておきましょう。

NFTは、一言で言えば「唯一無二のデータ」であり、普通のデジタルデータのようにコピーしたり改ざんしたりすることができないデータです。

普通のデータとNFTの違い

くわしい内容は、以下の記事で解説しています。

NFTのこの性質によって、これまではできなかった「デジタルデータを所有する」ということが可能になりました。

これがアートと結びつくことで起こったのが、2021年のNFTブーム。

現実の絵画と同じように、NFTアートはお金(暗号資産)で売買され、中には億単位の価値がつくNFTアートも生まれました。

一方で2022年、イーサリアム(ETH)の考案者であるヴィタリック・ブテリンは、売買・譲渡ができない新しいNFTを提唱しました。それが、SBTSoulBound Token, ソウルバウンドトークン)です。

SBTという名前は、SoulBound Token(ソウル=ウォレットに紐づいたトークン)に由来しています。すなわち、他人に譲渡することはできず、基本的には本人が永遠に所有することになります

ウォレットとは、暗号資産(仮想通貨)やNFTを入れるためのお財布のことです。
ここでは、個人が持つウォレットのことをSoul(魂)と呼んでいます。

SBTは「証明」に特化したNFT

SBTはNFTを「やり取りする」機能に制限をかけたものだといえます。

そんなことをしてどんなメリットがあるのかというと、NFTを「証明」に特化させることができます

NFTは唯一無二のデータであり、同じデジタルデータは他に一つとしてありません。

したがって、他人に譲渡できない状態にすれば、NFTをより信頼性の高い証明書として扱うことができます(具体例については後ほど解説)。

SBTと暗号資産(仮想通貨)、NFTの共通点・違い

ここでSBT・暗号資産(仮想通貨)・NFTの共通点・違いを見てみましょう。

スクロールできます
SBT暗号資産(仮想通貨)NFT
同じデータ存在しない存在する存在しない
売買・譲渡
できない

できる

できる
データの改ざん
できない

できない

できない
1. 同じデータが存在するか?

SBTはNFTの一種ですから、まったく同じデータは存在しません。一方で、暗号資産(仮想通貨)は同じデータが複数存在します。

例えば、Aさんのウォレットに入っている1BTCとBさんのウォレットに入っている1BTCは、どちらも同じ1BTCとして扱うことができます。

2. 売買・譲渡できるか?

暗号資産(仮想通貨)はGMOコインやbitbankのような取引所で、NFTはOpenSeaなどのマーケットプレイスで売買ができます。また、別のウォレットに自由に移すことができます。

一方で、SBTはこれらができません。したがって例えば、SBTを売って暗号資産(仮想通貨)に変えるといったことはできません。

3. (原理的に)データの改ざんが可能か?

SBT、暗号資産(仮想通貨)、NFTのデータはすべてブロックチェーン上で管理されているため、改ざんは原理的に不可能です

もし改ざんしようとする場合、相当のスペックを持つコンピュータが必要になります。

加えて、改ざんするよりもブロックチェーンの管理に貢献した方が、暗号資産(仮想通貨)がもらえる(マイニングと呼ばれます)といったメリットが大きいため、改ざんしようと考える人はそもそもいないというのが現実です。

SBT(ソウルバウンドトークン)の活用例

ここからは、SBT(ソウルバウンドトークン)が私たちの社会でどんなふうに役立つのかについて紹介します。

SBTには大きく分けて、本人確認用途のパスポート型と履歴証明用途のバッジ型の2種類がありますが、必ずどちらかに分類されるというわけではなく、両方の性質をあわせ持つSBTも考案されています。

身分証明書

身分証明証のイメージ

身分証明書はSBT活用の代表例です。

パスポート・免許証・マイナンバーカード・社員証…世の中にはあらゆる身分証明書がありますが、第三者が偽造して本人になりすますリスクはゼロではありません。

一方で、SBTはデータの改ざんや譲渡が絶対にできませんから、真の本人確認証として使うことができます。

さらに、SBTはデジタルデータなので、カードのような形で発行して持ち運ぶ必要もありません。

SBTを提示するだけで、ネットではもちろんのこと、現実世界でもスムーズな本人確認ができるようになると考えられます。

【具体例】

イベントの参加記念

イベント参加記念SBTの例

イベントの参加記念としてSBTを発行することができます。

イベントの主催者としては、誰がイベントに参加してくれたのか正確に調べることができるので、マーケティングのためのデータ収集につなげることができます。

一方で、SBTは劣化しないデジタルデータですから、参加者としてはイベントの参加記念として永遠にSBTを持っておくことができます。

特定のイベントに参加して入手できるSBTを持っている人だけが、新たな特典がもらえたり、別のイベントに参加できるといった仕組みを作ることも可能です。

【具体例】

SBT(ソウルバウンドトークン)に関するよくある質問

ここでは、SBT(ソウルバウンドトークン)に関するよくある質問について見ていきましょう。

SBTが盗まれてしまうリスクはないの?

SBTは譲渡できないNFTなので、盗まれることはありません。

ただし、SBTが入ったウォレットのパスワード(シードフレーズ)がもれてしまうと、第三者にウォレットごとSBTを悪用されてしまう可能性があります。

ウォレットのパスワード(シードフレーズ)は絶対に他人に教えないよう、個人で管理する必要があります

SBTの入ったウォレットにアクセスできなくなったら?

ウォレットにはパスワード(シードフレーズ)を使ってアクセスできますが、ウォレットの持ち主がそれを忘れたり紛失したりしてしまうと、SBTを含め、ウォレットに入った暗号資産(仮想通貨)を使うことができません。

しかし、ブテリン氏の論文では、参加しているコミュニティから承認してもらうことでSBTを再発行してもらうといった仕組みが提案されています

コミュニティがこうした方式が採用することで、「SBTへアクセスできず泣き寝入り」といったことは起こりにくくなると考えられます。

SBTに入っている情報が自分とは関係ない人に知られてしまうリスクはないの?

暗号資産(仮想通貨)やNFTの場合、ブロックチェーン上に取引などの記録が残るため、そのブロックチェーンを参照すれば誰でも記録を見ることができます。

SBTについてもデータはブロックチェーン上で管理されますから、SBTにプライベートな情報をそのまま紐づけるのはさすがにマズイですよね。

これについても、ブテリン氏の論文で言及されていて、開示したい情報と非開示にしたい情報を本人が選ぶことがブロックチェーンのシステム上可能とのことです

まとめ

  • SBT(ソウルバウンドトークン)は、NFTと同じく唯一無二のデータであるが、売買・譲渡ができない。
  • SBT(ソウルバウンドトークン)は、身分証明証やイベント参加履歴などへの応用が期待できる。

NFTをただの投機対象だと思っていた人も、SBTのことがわかれば、「一過性のブームでは終わらない、将来性の高い技術」であることに納得がいくのではないでしょうか?

まだまだNFTは単なるアートやPFPとしてのイメージが強いですが、SBTを始め、役に立つ形で少しずつ私達の生活にも関わってくるようになるはずです。

NFTやSBTのことをもっと理解したいと思ったのであれば、まずはNFT・SBTを実際に所有する経験をしてみるのが一番勉強になります。

このブログの【NFTを買おう】のカテゴリーでは、知識ゼロの状態からNFTを入手する方法を完全初心者向けに解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献

【書籍】

  • 図解即戦力 ブロックチェーンのしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書 (コンセンサス・ベイス / 技術評論社 / 2019)

【サイト】

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